イタリアの寿司屋潜入レポート

イタリアのお寿司屋さんでパート始めました。日々の様子や気づいたことを綴っていきます。

43日目 押し寄せ続ける来客の波

 

私のお休みは、毎週水曜日。

一ヶ月過ぎで少しは慣れたが、

朝から「今日は休み」だと言い聞かせなければ、

仕事の準備をしてしまうのではと思うほどで日々仕事モード。

夫は、毎度「あっ、休みだったね!」と驚くくらい

まだ定着していないと言える。

 

 

休みが開けると、木曜・金曜・土曜・日曜と、

週の後半は比較的繁盛する。

 

 

一ヶ月未満だったころは、

まだ軌道に乗るまで時間がかかり、

休み明けは少しボーっとしたような感覚だった。

 

そして、仕事開始して一ヶ月以降は「ヨシッ」と気合いを入れて

シュミレーションするようになった。

 

 

 

予想外の来客数

そして今週末、

これまで最多を記録するであろうほどの

膨大な来客があった。その数130人!!

 

何グループも一気に訪れるから把握することが難しくなる。

また、顔を見てもどのテーブルの人か混乱する。

 

自分自身は、料理を運んで追加注文を聴いて、片付けて…という

流れを繰り返している。

 

こうやって綴るとシンプルだが、

想定以上の人数に、次に何をする必要があるのか、

テーブルへ行く際についでにできることは…と

常に考えながら行動している。

 

 

客がわんさか訪れると、

メニューの番号が曖昧になってゆく。

宙に浮いているように、ふわっとした印象だ。

 

 

だから出来上がった料理が、何番か分からず、

というか、考える思考が鈍くなり、

いちいち料理人たちに確認を求めた。

 

そして、テーブルで注文を受けに行った歳、

ついにやってしまった。

番号を書き間違えて、ムダに一品を作らせてしまった。

 

 

あれこれ注文されると混乱する。

三歩進むと飛んで行くかのように注文を忘れてしまう。

テーブルから調理場へ戻る間に、

あらゆる方向から声がかかると、少しずつ飛んでゆく。

脳のキャパが狭い。こんな使い方していなかったから、

久しぶだと、古いパソコンを軌道したかのように時間がかかる。

なので数品であったとしても必ず紙にメモするようにした。

 

 

 

声が先か料理が先か

 

 

料理を運んでいる間に、呼び止められたり

注文を受けることは日常茶飯事。

 

「◯◯を持って来て!」「ビールもう一本!」

「◯◯をもう一つ」などあちこちから声がかかる。

では、何を優先的に行動するべきなんだろうか。

 

 

この手のビジネスルールはあまり得意な方ではない。

どちらかというと、やりたいことを先に済ませ、

気が乗らないものは後回しにするタイプ。

 

 

 

かつてこんなコラムを読んだ。

「2分以内に解決するものは、すぐに取りかかるべし」。

 

これには開眼した!

仕事だけでなく、家事や用事などササッと作業すればいいものを

先に片付けるという考え方。

 

これを、かつて日本で働いている時に知っていたら、

どれだけ効率が良かっただろうかと、想像しても時すでに遅し。

 

 

では、現在に活かそうと考えて行動している。

 

「ソース持って来て!」と言われれば、

完成した料理よりも先に持って行く。

運ばなくても私以外の人がするから大丈夫。

「ワイングラスをもう一杯!」と言われれば、

どんなに目の前にお客さんがいようとも持って行く。

 

このように、すぐに取りかかって解決するものは

一刻も早く片付ける。

 

そうしないと、逆に忘れてしまったり、

受け取らないで料理が終了したり、

お客さんが帰ったりすることになるので良いことがない。

 

 

そして、余裕を持って次の行動に移すことができる。

 

 

こう綴っていると当たり前のことだと思うだろうが、

34にもなってだらりと生活してきた主婦には、

刺激が多すぎてすぐパンクしそうになる。

冷静に考えつつ、一つ一つこなしていくだけで

週末はヘトヘト。

 

でもsushi屋での仕事は翌日に持ち越すことなく、

一話完結のような潔さが好きだ。

その日、その時を楽しく過ごしてもらうために

一生懸命丁寧なサービスをするのみ。

 

 

てんやわんやしているけれど、

最多来客数を更新しないかと、毎週末楽しみでもある。

 

 

36日目 勉強になるアレ

仕事場に入る時間は18:40分。

まずテーブル席を周りセッティングできているかチェックする。

いつも2、3席はお昼間の名残があるので整える。

 

そうこうしている内に名前を呼ばれる。

 

 

仕事が始まる前に何よりの楽しみが待っている。

それは、

 

ま・か・な・い

 

 

どこまで食用旺盛なのかと書きながら

恥ずかしくなってくるが、

まかないのレパートリーが豊富で来る日も来る日も楽しみなのだ。

 

 

イタリアでは、自分が食べたいものをたべることが食事の主なスタイル。

分け合うことはあまりせず、お皿を交換することもあまりしない。

 

 

中華料理はご存知の通り円卓に並ぶあらゆる料理を味わうスタイル。

これが、私たちのまかないでも同じで、白いご飯をベースに

3種類のおかずを5~6人で囲んで食べる。

 

調理は鉄板担当の中国出身の料理人。火加減は抜群!味は濃いがウマし。

家庭の味なんだろう、今までで食べたことのない中華料理が並ぶから興味深い。

 

 

 

最近驚いたのが、

じゃがいもを千切りの麺状にしたものを

豚肉と炒め醤油と酢で味付けしたものが抜群の美味さだった。

初めは瓜かと思っていたが、サクサクする食感がじゃがいもに辿り着いた。

再現したくても、私のレパートリーからはうまくできない。

ここはネットの手を借りるべし。

 

ということで、

「じゃがいも、千切り、炒め、中華」で検索

・・・

すると出て来た出て来た!それらしいものが!

おぉ〜!美味しそう!!とヒットしただけで喜ぶ。

 

 

せっかくなので、貼付けてみる。

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お酢が決め手!じゃがいも細切り炒め(酸辣土豆絲)
お酢が決め手!じゃがいも細切り炒め(酸辣土豆絲)

料理名:じゃがいも細切り炒め
作者:はかせ55

■材料(2人分)
じゃがいも / 中2個
ねぎ(青いところ) / 約30cm
しょうが / ひとかけ
とうがらし / 1本
塩 / 小さじ1/2
酢(米酢) / 大さじ1と1/2
鶏ガラスープの素(顆粒) / ひとつまみ
サラダ油 / 大さじ1

■レシピを考えた人のコメント
炒め物に酢?でもこれがおいしい!酸味と辛味で食が進みます。じゃがいもさえあればできるので、あと一品という時に。ビールのお供にもどうぞ。

詳細を楽天レシピで見る

 

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作り方は写真付きで分かりやすい。

初めての方でも簡単な料理です。

 

イタリアで中国の人たちに囲まれる生活をしなかったら、

一生出会えなかった料理だと思うと縁とは不思議な物だと

たった一つの料理から感慨深くなる。

 

なんて思いにふけっているヒマもなく、

開店時間の19時がやってくる。

さぁ、今日も頑張るドー!!

34日目 小指が痛い

さすがに一ヶ月経つと、

三十路を歩む私の身体にガタがくる。

運動してこなかったから これも当然のことであろう。

 

今回は、

 

小指が痛い。

 

 

 

手の小指ではない、足の小指。

門でぶつけたワケでもなく、

ドアにはさんだワケでもない。

 

 

 

少し変わった爪

 

私は幼い頃から、

足の小指の爪が変形して分厚く伸びている。

父親も同じような爪をしているから遺伝だろうか。

 

他の爪が伸びても足の小指だけはゆっくり成長する。

それは一つの作業が減るようでありがたいが、

実は問題がある。

 

それは、爪を切るのではなく削らないといけない。

 

 

伸びるなら、先端の白い部分を適度にカットすればいいが、

分厚くなる小指の爪は、薄くするために削る必要がある。

ここまでは普通のようだが、

この爪が分厚くなりすぎると

小指の爪の外側に傷みが生じる。

ある意味これがサインとなる。

 

痛くて歩けない!というものではなく、

小指に違和感を感じ歩き方がヘンになる。

うっとうしさがつきまとうから一刻も早く削りたい。

 

 

爪を切るタイミング

だいたい、テレビを見る時やネットを見ている寛ぐ時に

足をマッサージしたり、軽いストレッチをする。

その時に「あっ、そういえば…」と足の爪の長さをチェックする。

しかし、古風な言い伝えには意味があると思い。

 

夜に爪を切ってはいけない理由はよく分からないが、

30年以上避けてきている。

 

でも、だいたいリラックスする時間は夜。

テレビはネットに夢中になりながら、

気になる分厚くなった部分を指でこそげようとする。

この時はさすがに痛いが、取り除くと楽になるので、

爪を切らずに摘み除けるようにする。

 

この音を聴くと父親を思い出す。

そう、父親がテレビを見ながらしていた行為を、

大人になって私もしていることに遺伝を感じる。

 

 

 

小指の爪問題を解決せよ

2018年もなれば、ネットの情報は充実するどころか飽和状態。

検索すれば、嘘か真かはたまたそれ以外のものが

ドドッとヒットする。

 

その中から、自分の基準で信じられるものを選んでいく。

いくつも探した中で、一つの動画に出会った。

 

 

フットケアスペシャリストのかわいい女性が

足にまつわる悩みや問題について

完結に話をまとめた動画を配信している。

 

甘えたようなしゃべり方がかわいくもあり、

優しい印象を与えるので、つぎつぎと見てしまう。

 

という私は女なので、そこまで女性に興味はないが、

伝えている内容はそそられるものばかり。

 

 

いくつもある動画の一つに、足の小指の爪について取り上げている。

まさか、自分以外にこの悩みを抱えている人がいることに驚いた。

 

それは、「小指のガタガタ爪」と呼ぶらしい。

見事な説明になっとく。

爪は生まれつきガタガタではなく、

私自らガタガタを生み出していることに気づかされた。

 

 

 

その動画がコレ。

 

 


小指の爪がガタガタ…きれいにはえない理由

 

 

遺伝だと思い切っていた爪は、

私の歩き方や立ち方に問題があったんです。

 

要するに、小指をめがけて体重をかけていた。

よって、小指が身体を支えようと

グニュっと外側へひねるようになった。

 

だから、小指の爪の側面が痛くなっていたのだ。

 

 

これはもう目からウロコ!

 

 

 

この動画の他に、正しい歩き方や美しい立ち方になる重心のポイント、

靴の選び方やフットケアまであらゆる動画を見て学んだ。

 

 

つまり、私が実践することは、

  • 重心を親指のラインを意識した内側に置くこと。
  • 靴紐を縛りすぎないこと。
  • 毎日、爪をマッサージすること。

 

お金をかけずしていかに自分で改善していくかが、

楽しくて仕方がない。

変化が現れることを願って

 

今から歩き方を変えてゆく。

 

 

 

 

 

32日目 パワーがみなぎっている!

 

Sushi屋での仕事を開始して10日間くらいは、

足の疲れがとれなかった。

来る日も来る日も、足元に血液が溜まり

循環していないことを感じるほど足が痛かった。

 

帰宅するとすぐにシャワーを浴びて、

ふくらはぎのマッサージ。

そして、足を壁にかけて血流の流れを足から上半身へ移した。

 

 

 

 

ある日、この痛みがなくなっていたことに気づいた。

と同時に、自分の歩くスピードや歩幅が広くなっていると思った。

なんだか、身体の中からエネルギーが湧いているような強さ。

 

家から職場まで徒歩で行けばいいところ、なぜか走りたくなる。

これまでゆっくり登っていた階段を駆け足したくなる。

 

何だ!このみなぎるパワーは?!

 

 

 

知らぬ間にいた存在

これまで半ライター・半専業主婦生活をしていたころは、

パソコンに向かうか、家事をするかで運動はほぼしなかった。

一度、夫の勧めでジムに一緒に通ったが、

周りの目が気になることと、大勢の中でシャワーをする面倒さと

会費を払うばかばかしさが合わさり数ヶ月で辞めた。

ほんと、運動には向いていない体質と思い込んでいる。

 

 

 

ところが、働きだしして、みなぎるパワーを感じている。

見た目は変わらず、意外にも痩せないなぁと思っていたが、

実は知らないうちにあるものが鍛えられていた。

 

 

 

それが、

 

 

 

 

インナーマッスル!

 

 

 

ホールの仕事では、

いつも背筋を伸ばして、

機敏に迅速に行動することを心がけている。

少しのステップやしゃがむこともあるので、

自然と体幹が鍛えられていたことに気がついた。

 

若い女の子たちに負けずオバさんも

ラクラク行動できること見せつけたい。

誰と戦っているのかと思うが、

まだ衰えてないことを自分でも感じたいだけだ。

 

まっ、

これで痩せればもっと喜びも大きいのだが、

たかが一ヶ月じゃそうもいかない。

まかないが美味しいということも原因の一つ。

しばらく様子を見てみよう。

 

 

働くことにより、

適度な運動、豊かな生活、語学の向上、異文化の習得など、

あらゆることを同時に吸収している。

 

 

一石二鳥どころか七、八鳥だ。

 

 

 

 

1ヶ月経ち気づいた3つのコト

仕事を始めてから1ヶ月が経過した。

初めての連続で、メニューや流れに

ついて行くのに精一杯だった。

 

かなり狭かった視野も、少しずつ

広がってきていることを実感する。

 

週に6日働くことは案外苦ではなく、

もうすでに生活の一部となりつつある。

休みの日は、今日は行かなくていんだっけ⁈なんて

焦ることもあるくらいで、うまく休めていない気がする。

 まっ、これもそのうち慣れるだろう。

 

 

 

この1ヶ月で気づいた3つのコト

 

異国の地で日本人のいない環境で初めて働いてみて、

意外にも自分を知ることになった。

大きく分けるとこの3つになる。

 

《1》自問自答し続けている

私は、あまり独り言を言う方ではない。

ファンタジーより現実的に物事を考える方だ。

 

 

がしかし、

異国の日本人がいない環境で働いてみて

結構、自分自身に話しかけるというか、

問いかける時がよくあることに気づいた。

「これでいいと思う?ぃゃ、こうした方がいいよね!」

「こんな風に言ったけど、もっとこう言えば良かった…よね⁇」

なんてあらゆることをかんがえている。

また、イタリア語でいうなら「・・・・・」かな。と

言葉を発する前にまだイタリア語の文章を構築しなければならない。

5年経った今でも不安で、なかなか自信が持てない。

お店のことだけでなく、言葉の面でも学ばなければいけないことが多くある。

 

 

これは何かに似た感覚だと思ったら、 

「一人旅」に近いと感じた。

 

二人以上で旅をする際は、相談しながら決めるが、

一人だと、しなければいけないコトと したいコトの

優先順位を何かをしながら考えることが多い。

移動中に「どこで何を食べようか」、

食事中に「次はどこへ行こうか」、

散策中に「ここ入ってみようかな」、

「あっ、あの人◯◯に似ている…」なんてことまで

常に心の中で話ながら行動している。

自分の中にいるほかの自分に話しかけているこの感覚。

もちろん言葉の面でも英語を達者にしゃべることはできないので、

話す前に文章を準備する必要がある。

 

この一人で戦う感じが、なんとなく重なる部分がある。

 

  

 

 

《2》ムダの省き方

 

15年前に地元の日本料理屋で働いた経験がある。

 京都の味を研究した親方が経営するお店で、

とても評判のいい料理屋として定評があった。

 

ここでバイトを2年程した。

主に週末、ホールスタッフと食器洗いを担当。

 

仕事の仕方は女将さんから学んだ。

と言っても、アレコレ細かく説明するタイプではなく、

流れ作業の中でやるべきことを

見て覚えることの方が多かったように思う。

 

 

 

そんな中、唯一今でも覚えていることがある。

それは、

 

「二度手間をしない」

 

 

当然!と思う方もいるでしょう。

当時18歳の私は、初めて「稼ぐ」という行為に対し、

段取りという言葉をまだ把握していなかった。

 

女将さんはいかに、ムダなく効率よく働くかを軽く私に言った。

ただのアドバイスで何気ない言葉だったけれど、

私には衝撃的だった。

というのも、のんびりした私の性格を突かれたようでドキッとした。

 

 

 

それから二度手間にならぬよう、

先々のことを考えて行動するようになった。

 

時を経て再びこの教えに目覚めている。

席に料理を運ぶまでに一緒に持って行くもの、

せっかく席までいくならやるべきこと、

バックへ戻る際についでにやることなど、

常に二度手間廃止について考えている。

 

 

 

《3》訪れるのは常連客

働いているスタッフは、お客さんを友だちのように扱う。

丁寧語よりフランクな言葉で、名前で呼んだりハグやほっぺを合わす挨拶も。

友だちが食べにくるのとは違う、ご贔屓さんと仲良くなった感じ。

 

一ヶ月働いてみると、顔を覚えそうになるほど、

頻繁に来るお客さんが多いことに気づく。

 

ほぼ毎日奥さんのためにSushiのセットを買いにくる人や。

週に1度は食べにくる元気な親子。

10日に一度来る、ハンサム手前な謎の男三人組。

中には、100kmも離れた街から来るカップルもいるとか。

 

 

いかに、このSushi屋が信頼のもとで経営できているかが伺える。

 

 

だから、私が働きだしたことをお客さんたちは気づいている。

「初めまして!」「働きだしたの?」

「今お試し期間中?」「がんばってね!」なんて

声をかけてくれる人が何人もいる。

おぼつかない姿に気を使ってくれる人も。

ありがたい。

 

お客さんありきの商売。

改めていい関係が築けているお店だと気づいた。

 

今この輪の中に少しずつ入り込んでいる。

足を引っ張らないようにただひたすら前進するだけ。

 

一ヶ月無事に仕事をできたことに感謝。

そして頂いた給料にも思わず手を合わす。

これからさらに迷惑かけぬように励むばかり。

 

 

 

 

  

 

22日目 とんでもない行動

あざ笑われた翌日は、

気持ちを切り替えることができなかった。

自分の中で何度も何度もそのシーンが繰り返され、

なぜ、あんな風にしたんだろう、こんな風にすればよかった

などグルグルと回り続けた。

 

ご飯を食べている時も、掃除をしている時も、

考えすぎて平均台から何度も落っこちるような感覚。

何をやっても集中できず不甲斐無さだけが残る。

 

 

言葉に出すことさえ苦しくて、

うまく自分をコントロールできずに、

そばにいた夫に「八つ当たり」というカタチで

いらだちを放出してしまった。

彼に当たるつもりはなかったのに、

トゲのある言葉や粗雑な行動を抑えることができなかった。

 

そんな私に違和感を覚え、夫は声をかけてくれた。

私の中から少しずつ言葉を引き出し、原因を突き止め、

これまで与えた無礼な行いをチャラにしてくれた…

やっぱりこの人と結婚して良かったと改めて思った。

 

 

 

気持ちを切り替えられず再び仕事へ

 

ピリピリしていた私は、

きちんと休憩できずにいたため、

少し昨日の荒れが残ったまま仕事に向かうこととなった。

それを見兼ねた夫は、職場まで送ってくれた。

「大丈夫!大丈夫!」と背中を押し、笑顔で入店することができた。

 

 

昨日となんら変わりないお店の様子に

再びシーンが蘇る。。。

しかし、今日は今日。自分で切り替えるしかない。

 

みんなに挨拶を済ませ、いつも通りの行動をとる。

なんら変わりない、これまでも自分を演じるような感覚。

徐々にいつもの流れへと進めていく。

 

そうこうしている間に、徐々にお客さんが増えていった。

午後8時ともなると、20秒に一回来店するように、

次々にテーブルが埋まってゆく。

ただただ、目の前にあるやるべきことをこなしていった。

 

 

しかし、根本的な部分の解決には至っていない私は、

あまり集中することができなかった。

ひたすら完成した料理を運んでいるつもりが、

何度も間違えていた。

 

あるテーブルは料理であふれ、

あるテーブルでは握りがまだ来ていないと。

 

この日は、テーブル番号をきちんと把握できていなかった。

少しイレギュラーに並ぶ席に頭が混乱した。

どんなに考えても、同じ間違いを何度もした。

 

さらに、料理を見てもどの番号か分からなくなるほど

思考回路も停止気味になっていった。

冷静に考えて行動しようとしても、

夢の中でもがいているように、何もできず、

ただ言われたことをこなすだけにまでなった。

 

 

 

意外なコトバ

 

混乱した状況に、同僚が声をかけてくれた。

「たくさんの人が一気に押し寄せて驚いたでしょ」と。

私は、「何度も失敗した。今日は特にダメな日だヮ。」

と言うと、彼女は、

「見て分かるように、みんな混乱しているのよ!!」

「あなただけじゃナイヮ!」と言ってくれた。

 

 

今、2人のスタッフが休みを取っている。

そのために、1人ずつがこれまで以上の仕事を

任されていることになる。

だから、仕方がないことだと言った。

確かに、そうかも。

Sushiを握るスタッフに代わりオーナーが握り、

オーナー奥さんんお変わりに、女性のスタッフが

テイクアウェイとレジをしながら、ホールをする。

 

私の行動はとっても簡単なものなのに、

こんなことで悲鳴をあげていたら

さらに足を引っ張るだけだと思った。

 

 

気持ちを切り替えて、

丁寧に落ち着いた接客をしようと心がけた。

笑顔で焦らずゆっくりかつ機敏に行動する。

丁寧に、丁寧に、、、

 

 

 

しかし、

 

そんなすぐに切り替えることはできない。

デザートを頼まれて、番号で厨房に注文を入れる際に、

間違って伝えてしまっていたらしい。

 

デザートを運ぶ中国の同僚がテーブルに持って行った際、

「ティラミス?」とカップルに聞くと、

「No ティラミス、チーズケーキ!」と反応が返ってきた。

同僚も「Noティラミス?チーズケーキ?」と質問し直したら

「Sì」と言われ準備したらしい。

この間違いを、最後の片付けで教えてくれた。

 

中国の同僚はイタリア語を話さないので番号とわずかな言葉で

コミュニケーションを取る。

失敗して落ち込んでいる私に、彼女は

「何でもないから大丈夫!まだ始まったばかりだから!」と

優しい言葉をかけてくれた。

しかも笑顔で言ってくれたから前向きに頑張ろうという気持ちになった。

 

 

明日はゆっくり休んで、気持ちを切り替えていこう!

 

 

 

 

 

21日目 失敗にあざ笑われる

今日は悲しい日。

 

毎日足を引っ張らないように、

失敗しないように気を使いながら、

念には念を入れて、時間がかかっても

正確に料理を届けることに集中している。

 

 

しかし、罠かと思うほど簡単な間違いにハマったりする。

 

今日は、テーブル番号を10と告げられ

ドルチェを持っていくとすでに女性は食べていて、

すると後ろのテーブルから私の!と言われた。

この一瞬の間に、言われた番号、置かれた状況、

テーブルの様子を振り返りフリーズした。

もちろん考えれば分かることだが、

まだ、慣れていない中、視野を広げて見ることはできていない。

幸いにもお客さんは笑顔で声をかけてくれたからよかった。

 

 まぁ、これは自分の判断ミスと言える。

 

 

 

言葉通り、正確に行動できていない

 

いつも最後のグループはだらだらとしゃべってなかなか帰らない。

個室にいると心地いいからか長居する傾向にある。

だから、オーナーはWi-Fiを設置しないと意地を張っている。

この意見には同感。

 

遅くに入ってきて、長々としゃべっている間に、

掃除も翌日の準備も終え、することがなくなった。

 

 

すると、一人の同僚が私にこう言った、

「コーヒーのカップを下げてきて。」

 

長く待たされたことにしびれを切らしていた私は、

テーブルに残っていたビールの瓶やグラスも一緒に下げた。

お水のコップだけあればいいでしょ、、、

 

 

すると、

同僚たちが大笑いしながら、「ストップ!ストップ!」と言ってきた。

 

 

ここにどんな間違いがあるかわかるだろうか。

 

 

 

日本人である私には、なんの違和感もないことだが、

ここはイタリア。文化が違うことを不意に忘れることがある。

 

 

イタリアでは、(他の国は知らないが)

デザートの後にコーヒーを飲む。

そして、お口直しというか、最後の締めに、

食事中に飲んでいたお酒を飲む習慣がある。

ワインやビールで全ての食事を終わらすようだ。

 

つまり、ビールやワイングラスはさげてはいけないという暗黙のルールがある。

 

 

そんなことを忘れていたのと、早く帰ってほしい想いが重なり、

彼らのビールグラスを下げた。

いずれにせよ、わずかばかりのビールしかなかったから、いいよね?という感じ。

 

確かに同僚は、「コーヒーカップを下げて」と言っていた。 

 

これは、完全に私の間違い。

言い訳すると、私はお酒を飲まないからこの習慣を忘れていた。

イタリアで何度食事をしても、この習慣には未だ違和感を覚えている。

 

まだ働きだして23日目のこと。

文化の違いを把握しきれず笑われたことが

なんだか悔しくて仕方がない。

言葉もまだ充分でないことから、

かなり下に見下されていることもよく分かる。

外国人がつたない言葉で話をすると、

誰でも同じような感覚になるものだ。

 

この悔しい思いを挽回するのも自分次第。

もっと周りを見て行動できるようにする。

そして、この経験を踏まえてまた明日から励むのみ!

 

早く一人前になるんだー!

と思うと同時に、

もっとほかの方法で賢く稼ぐスキルを身につけてやる!と

改めて感じた。

 

悔しさと賢く挽回したい想いが入り混じる複雑な日。