イタリアの寿司屋潜入レポート

イタリアのお寿司屋さんでパート始めました。日々の様子や気づいたことを綴っていきます。

1ヶ月経ち気づいた3つのコト

仕事を始めてから1ヶ月が経過した。

初めての連続で、メニューや流れに

ついて行くのに精一杯だった。

 

かなり狭かった視野も、少しずつ

広がってきていることを実感する。

 

週に6日働くことは案外苦ではなく、

もうすでに生活の一部となりつつある。

休みの日は、今日は行かなくていんだっけ⁈なんて

焦ることもあるくらいで、うまく休めていない気がする。

 まっ、これもそのうち慣れるだろう。

 

 

 

この1ヶ月で気づいた3つのコト

 

異国の地で日本人のいない環境で初めて働いてみて、

意外にも自分を知ることになった。

大きく分けるとこの3つになる。

 

《1》自問自答し続けている

私は、あまり独り言を言う方ではない。

ファンタジーより現実的に物事を考える方だ。

 

 

がしかし、

異国の日本人がいない環境で働いてみて

結構、自分自身に話しかけるというか、

問いかける時がよくあることに気づいた。

「これでいいと思う?ぃゃ、こうした方がいいよね!」

「こんな風に言ったけど、もっとこう言えば良かった…よね⁇」

なんてあらゆることをかんがえている。

また、イタリア語でいうなら「・・・・・」かな。と

言葉を発する前にまだイタリア語の文章を構築しなければならない。

5年経った今でも不安で、なかなか自信が持てない。

お店のことだけでなく、言葉の面でも学ばなければいけないことが多くある。

 

 

これは何かに似た感覚だと思ったら、 

「一人旅」に近いと感じた。

 

二人以上で旅をする際は、相談しながら決めるが、

一人だと、しなければいけないコトと したいコトの

優先順位を何かをしながら考えることが多い。

移動中に「どこで何を食べようか」、

食事中に「次はどこへ行こうか」、

散策中に「ここ入ってみようかな」、

「あっ、あの人◯◯に似ている…」なんてことまで

常に心の中で話ながら行動している。

自分の中にいるほかの自分に話しかけているこの感覚。

もちろん言葉の面でも英語を達者にしゃべることはできないので、

話す前に文章を準備する必要がある。

 

この一人で戦う感じが、なんとなく重なる部分がある。

 

  

 

 

《2》ムダの省き方

 

15年前に地元の日本料理屋で働いた経験がある。

 京都の味を研究した親方が経営するお店で、

とても評判のいい料理屋として定評があった。

 

ここでバイトを2年程した。

主に週末、ホールスタッフと食器洗いを担当。

 

仕事の仕方は女将さんから学んだ。

と言っても、アレコレ細かく説明するタイプではなく、

流れ作業の中でやるべきことを

見て覚えることの方が多かったように思う。

 

 

 

そんな中、唯一今でも覚えていることがある。

それは、

 

「二度手間をしない」

 

 

当然!と思う方もいるでしょう。

当時18歳の私は、初めて「稼ぐ」という行為に対し、

段取りという言葉をまだ把握していなかった。

 

女将さんはいかに、ムダなく効率よく働くかを軽く私に言った。

ただのアドバイスで何気ない言葉だったけれど、

私には衝撃的だった。

というのも、のんびりした私の性格を突かれたようでドキッとした。

 

 

 

それから二度手間にならぬよう、

先々のことを考えて行動するようになった。

 

時を経て再びこの教えに目覚めている。

席に料理を運ぶまでに一緒に持って行くもの、

せっかく席までいくならやるべきこと、

バックへ戻る際についでにやることなど、

常に二度手間廃止について考えている。

 

 

 

《3》訪れるのは常連客

働いているスタッフは、お客さんを友だちのように扱う。

丁寧語よりフランクな言葉で、名前で呼んだりハグやほっぺを合わす挨拶も。

友だちが食べにくるのとは違う、ご贔屓さんと仲良くなった感じ。

 

一ヶ月働いてみると、顔を覚えそうになるほど、

頻繁に来るお客さんが多いことに気づく。

 

ほぼ毎日奥さんのためにSushiのセットを買いにくる人や。

週に1度は食べにくる元気な親子。

10日に一度来る、ハンサム手前な謎の男三人組。

中には、100kmも離れた街から来るカップルもいるとか。

 

 

いかに、このSushi屋が信頼のもとで経営できているかが伺える。

 

 

だから、私が働きだしたことをお客さんたちは気づいている。

「初めまして!」「働きだしたの?」

「今お試し期間中?」「がんばってね!」なんて

声をかけてくれる人が何人もいる。

おぼつかない姿に気を使ってくれる人も。

ありがたい。

 

お客さんありきの商売。

改めていい関係が築けているお店だと気づいた。

 

今この輪の中に少しずつ入り込んでいる。

足を引っ張らないようにただひたすら前進するだけ。

 

一ヶ月無事に仕事をできたことに感謝。

そして頂いた給料にも思わず手を合わす。

これからさらに迷惑かけぬように励むばかり。