イタリアの寿司屋潜入レポート

イタリアのお寿司屋さんでパート始めました。日々の様子や気づいたことを綴っていきます。

5日目 国によって違う注文の仕方

イタリアのSushi屋で働き出して2日が過ぎた。

 

普段、家事の傍らでちょこっとライターをしてきた私には、

4時間の立ちっぱなしや動きっぱなしは久しぶりの運動で、

筋肉痛が始まった。

すねのあたりの筋や足の裏が凝っている。

お風呂があれば浸かるのに、シャワー生活だから、

足を上にしてたまった血液を循環させた。

それでも治らず、ネットで検索すると、

ふくらはぎのマッサージがあり、かなり楽になった。

 

 

 

初めて注文を受ける

私は、大の臆病者。

常に、失敗したらどうしようという不安と共にいる。

しかし、いざ覚悟を決めるとドーンとするのだが、

それまでに時間がかかることがある。

 

 

土曜日は、賑わう日と言われていたが、

寒波と雨で客足が遠のいたらしい。

嬉しいような悲しいような。

 

 

でもバタバタせずに適度な人数だったので、

テーブルへ注文を受ける練習をした。

 

ルーマニアの女の子が私を連れてお客さんの前に着くと、

「この子新人さんなの!みんな番号でメニューを言ってくれる?」と、

かわいくお願いしている。

若い女性の3人組のグループは「頑張れー!イケー!」と応援してくれた。

常連さんなんだろう。受け入れてくれたことと励ましに背中を押された。

そこで、私は「こんばんは〜」といいながら伝票を準備し、

今からやってくる番号に身を構える。

 

 

伝票には、テーブル番号と人数をまず書き、

そして、メニュー番号を記していく。

 

 

 

っと、その前に、イタリアの食文化について触れておこう。

イタリアでは、一般的に料理はコースで食べる。

レストランや家族が集まる食事会や祝い事などゆったりと何時間もかけて

食事をする習慣がある。マンマが丹誠込めて作った料理を

舌鼓を打ちながらワイワイと食べる時間が豊かなひとときとなる。

 

食事の流れは、

アンティパスト(前菜):生ハムやチーズ、ブルスケッタ、スープなど
プリモ(第一のお皿):パスタやリゾットなど
セコンド(第二のお皿):お肉や魚料理

  +

コントルノ(付け合わせ):サラダ、野菜のグリルやフライドポテトなど
ドルチェ、カフェ

 

このような流れになる。

一皿ずつみんな一緒に食べ進めていく。

お皿もその都度変え、熱々の料理を食べることに幸福感がある。

 

 

・・・という風な習慣がある中で、

話をSushi屋の注文に戻そう。

 

 

注文を受ける際、

🇨🇳中国のように、料理を一挙にテーブルに並べるのか、

🇯🇵日本のように、前菜やメインを食べてSushiにするのか、

🇮🇹イタリア流に、前菜、Sushi、焼き魚という風に続くのか。

これらを確認する必要がある。

 

尋ねたら、これらを番号で書いていく。

前菜となる番号は左端、Sushiは中央、揚げ物は下段にと、

料理場所によって、書く場所を分ける必要がある。

Sushiを握っているのはカウンター、

鉄板は突き当たり、揚げ物は奥の厨房となっているからだ。

 

場所別に番号を書いていっても、

料理を出す順番によってさらに書き方が変わる。

一挙に出すなら、全て同じ場所に書く。

時間差をつけるなら、ラインを引いてその下に番号を書く。

 

たったこれだけだから、

考えてみると簡単だが、いざお客さんの前で

緊張した状態で書くとなるとちょっと焦る。

 

 

さらに、

料理の中身を変更してほしいと言う人もよくいる。

例えば、刺身を全てサーモンにしてほしい。だとか、

細巻きを握りに変えてほしい。エビは使わないでなど、

それぞれを聞いて変更点を記さなければならない。

 

しかし、

料理を作る中国の人たちはイタリア語を話さないので、

基本的に数字だけのコミュニケーションとなってくる。

料理の内容を変更するときは、

小さなサインが決まっている。

例えば、

焼きサーモンとフィラデルフィアの裏巻きを、

生のサーモンにしたい時に「※」を番号の横に記す。

アボカドとサーモンの細巻きで、アボカドをのけるなら、

No 10と書く。10番はアボカドの細巻きを表していて、

そこから10を除くという意味になる。

なんだか遠回りだが、これで円滑に回っている。

 

 

 

初注文は成功か失敗か

で、初めてとなる、イタリア人3人組のグループの注文は、

前菜とSushiをほぼ同時に、焼き魚や天ぷらは後から持ってきて

ということでラインを引いた。

 

案外簡単に注文を終え、ルンルン気分で番号を料理人たちに伝えた。

 

 

そしてすぐに、白ワインを頼まれていたので、テーブルへ持って行く。

この時、ボトルはテーブルで開けなければならない。

普段、あまりワインを飲まない私は、ボトルを開けることがあまりない。

開け方は知っているが、おぼつかない所作だ。

ルーマニアの子に「ボトル開けれる?」と聞かれ「はい!」と答えるも不安。

できるかな??なんて思いがボトルに表れたのか。。。

やってしまった・・・。

 

 

コルクが途中で切れた!

 

 

始めのスパイラル部分を斜めに刺してしまったらしい。

ヤバいヤバいと焦っていると、

イタリア人3人組グループの一人が、

「私がやってあげるから、あなたは私をカバーして、

みんなに見えないようにして!」と。

ボトルを渡すとサッと切れたコルクを取り除いてくれた。

そしてワインオープナーだけ渡されて、

「この折れたコルクは私が持って帰るから!」と言ってくれた。

 

 

証拠隠滅

 

 

あまりのお姉さんの手際の良さや、

頭の回転の速さにポカーンとなった。

なるほど!先まで読んだんだ!

ありがたや。ありがたや。

まぁ、これが見つかっても怒られることはないけれど、

良いようには見られないかッ。

ありがとうお姉さんたち♡

 

こうやって、

また夜を無事に乗りこえることができた。