イタリアの寿司屋潜入レポート

イタリアのお寿司屋さんでパート始めました。日々の様子や気づいたことを綴っていきます。

10日目 "っぽい" ものと"ホンモノ"

 

イタリアに限らず、外国のSushi屋や日本料理屋は

「っぽい」ものがある。

 

中国の方々が展開するSushiは似ていても実際に違うものがある。

また、外国で好まれる味として独自に発展し、

寿司ではなくSushiとして親しまれているものもある。

 

 

その代表格が「カリフォルニアロール」だろ。

 

 

もちろん私の働くSushi屋にもある。

具は、カニかまアボカドこれらを「裏巻き」という

海苔の外側にご飯がくるタイプで出している。

 

お客さんによっては、カニかまをサーモンにしたり、

アボカドをクリームチーズにしてほしいなど要望してくる。

結局、何を巻いてもいいのかしら?

 

 

そもそも「カリフォルニアロール」って何だろうという疑問が湧く。

アボカド、レタスかにかまなどを、海苔(のり)を内側にして巻いたすし刺身や海苔に慣れない米国人のために考案されたといわれる。カリフォルニア巻き。

                                 コトバングより

 

なるほど。

1960年代に誕生したものらしい。

世界中で親しまれる理由が分かる。

生魚を食べない人も一緒にSushiを味わうための一品か。

 

 

再び、私の通うSushi屋に目を向けてみると、

メニューにそれぞれ記号が描かれている。

青だと生魚赤だと火を入れたものを指す

そして Vは野菜のみと表記してある。

 

つまり、

マグロやサーモンは

ツナマヨやうなぎは

握りアボカドやカッパ巻きは

 

一目で調理法が分かるので重宝すると思う。

しかし、これまで料理を運びながら見ていると、

生魚を食べられない、食べたくない人はあまり会わない。

そもそもSushiを食べに来ないのでないだろうか。

 

よって、カリフォルニアロールを食べる人は、

ヴィーガンとは限らず、生魚が苦手とも言えない。

むしろ、イタリアにはない新しいSushiという文化を

味わっているように見える。

 

 

 

見つけたホンモノ

 

 

Sushi屋で必ず頼む料理がある。

 

それは「味噌汁」。

 

 

これまで欧米のSushi屋を訪れたが、

怪しい味噌汁ばかりだった。

 

豆腐がスカスカ、ダシの香りがしない、

明らかなインスタントといった具合。

日本人に合わせられた味ではなく、

外国の人たちでも味わえるスープになっている。

 

だから、日本人には物足りなく、ペッとしたくなるものも。

 

 

 

 

この店の良いところ2点

私はこの店で働く前から客として利用していた。

頻繁ではないが、夕飯を作りたくない時など

近所とあって、ふらりと立ち寄ることがほとんど。

このSushi屋を選ぶ理由は

 

1点目は、

オーナー奥さんが優しい。

いつも笑顔で迎えてくれる。街で会えば軽く挨拶するほど。

 

2点目は、

なんと言っても「味噌汁が美味しい!

今まで外国でこれほどおいしい味噌汁に出会えたことはない。

唯一、近所にある美味しいお店で働けていることに嬉しく思う。

多くのイタリア人にSushi屋のことを聞かれるが、胸を張って

「日本人の私がおいしいと思う!」ということを伝えている。

合わせ味噌のような中間色で何にでもあうタイプ。

 

 

味噌汁の現場

働いてみると、少し見えてきた。

厨房には、味噌汁用の電気調理機がある。

 

沸かすことと保温を兼ねた大きな電気鍋。

炊飯器の鍋バージョンと言える。

 

注文が入ると、この鍋を開けてお椀に注ぐ。

この鍋には具がない!

 

味噌汁の汁だけが温められている。

具はというと、横にあった。

 

「わかめ」と「豆腐」と「ネギ」

 

定番の具材だ。

 

ワカメは乾燥のため、タッパーに少量だけ入れられている。

豆腐はさいの目にカットしてあるものが、

これまた水を張ったタッパーに準備してある。

その横に刻んだネギ。

 

つまり、注文を受けてから、

ワカメ、豆腐と汁をお椀に注ぎネギをかける。

 

いつも湧かしっぱなしにならないこと、

古いワカメが泳がないこと、

豆腐が型くずれしないためにこのようにしているのだ。

 

いちいち注文を受けてから準備するのは面倒だけれども、

こうすることで煮すぎない味噌汁ができる。

 

 

ここまで書くと、きちんとしているように感じるが、

肝心なのは、具ではなく、

ダシ

 

私は、香川県で育った。

うどんのダシはいりこや鰹節を効かせたものが好きで、

結構ダシにはこだわりがある。

イタリアに来てから、初めてひとり暮らしをした時も

だしの素を使わないように料理をしていた。

どうしても添加物が気になって遠ざけていた。

 

 

味噌汁を左右させるダシ。

彼らはどのように取っているのか・・・。

 

実は、そこまではまだ探れていない。

しかし、味噌汁が少なくなると、

どこからかダシを持ってきているのは知っている。

そして、味噌が冷蔵庫にあることは確認済み。

これからさらなる調査を進めて行く。

 

 

要するに、このお店で作る味噌汁は、

インスタントでもなく、ニセモノでもない

ホンモノの家庭料理に近い味と言える。

 

 

少し味噌汁のことを知った時に、

自分の舌が間違っていなかったとわかり嬉しくなった。

と同時に、オーナーがウソの料理ではなく、

ちゃんとした日本食を提供するという

正直な誠意が現れているように感じられた。

ますます、この店で働く意欲が湧いてきた。