イタリアの寿司屋潜入レポート

イタリアのお寿司屋さんでパート始めました。日々の様子や気づいたことを綴っていきます。

22日目 とんでもない行動

あざ笑われた翌日は、

気持ちを切り替えることができなかった。

自分の中で何度も何度もそのシーンが繰り返され、

なぜ、あんな風にしたんだろう、こんな風にすればよかった

などグルグルと回り続けた。

 

ご飯を食べている時も、掃除をしている時も、

考えすぎて平均台から何度も落っこちるような感覚。

何をやっても集中できず不甲斐無さだけが残る。

 

 

言葉に出すことさえ苦しくて、

うまく自分をコントロールできずに、

そばにいた夫に「八つ当たり」というカタチで

いらだちを放出してしまった。

彼に当たるつもりはなかったのに、

トゲのある言葉や粗雑な行動を抑えることができなかった。

 

そんな私に違和感を覚え、夫は声をかけてくれた。

私の中から少しずつ言葉を引き出し、原因を突き止め、

これまで与えた無礼な行いをチャラにしてくれた…

やっぱりこの人と結婚して良かったと改めて思った。

 

 

 

気持ちを切り替えられず再び仕事へ

 

ピリピリしていた私は、

きちんと休憩できずにいたため、

少し昨日の荒れが残ったまま仕事に向かうこととなった。

それを見兼ねた夫は、職場まで送ってくれた。

「大丈夫!大丈夫!」と背中を押し、笑顔で入店することができた。

 

 

昨日となんら変わりないお店の様子に

再びシーンが蘇る。。。

しかし、今日は今日。自分で切り替えるしかない。

 

みんなに挨拶を済ませ、いつも通りの行動をとる。

なんら変わりない、これまでも自分を演じるような感覚。

徐々にいつもの流れへと進めていく。

 

そうこうしている間に、徐々にお客さんが増えていった。

午後8時ともなると、20秒に一回来店するように、

次々にテーブルが埋まってゆく。

ただただ、目の前にあるやるべきことをこなしていった。

 

 

しかし、根本的な部分の解決には至っていない私は、

あまり集中することができなかった。

ひたすら完成した料理を運んでいるつもりが、

何度も間違えていた。

 

あるテーブルは料理であふれ、

あるテーブルでは握りがまだ来ていないと。

 

この日は、テーブル番号をきちんと把握できていなかった。

少しイレギュラーに並ぶ席に頭が混乱した。

どんなに考えても、同じ間違いを何度もした。

 

さらに、料理を見てもどの番号か分からなくなるほど

思考回路も停止気味になっていった。

冷静に考えて行動しようとしても、

夢の中でもがいているように、何もできず、

ただ言われたことをこなすだけにまでなった。

 

 

 

意外なコトバ

 

混乱した状況に、同僚が声をかけてくれた。

「たくさんの人が一気に押し寄せて驚いたでしょ」と。

私は、「何度も失敗した。今日は特にダメな日だヮ。」

と言うと、彼女は、

「見て分かるように、みんな混乱しているのよ!!」

「あなただけじゃナイヮ!」と言ってくれた。

 

 

今、2人のスタッフが休みを取っている。

そのために、1人ずつがこれまで以上の仕事を

任されていることになる。

だから、仕方がないことだと言った。

確かに、そうかも。

Sushiを握るスタッフに代わりオーナーが握り、

オーナー奥さんんお変わりに、女性のスタッフが

テイクアウェイとレジをしながら、ホールをする。

 

私の行動はとっても簡単なものなのに、

こんなことで悲鳴をあげていたら

さらに足を引っ張るだけだと思った。

 

 

気持ちを切り替えて、

丁寧に落ち着いた接客をしようと心がけた。

笑顔で焦らずゆっくりかつ機敏に行動する。

丁寧に、丁寧に、、、

 

 

 

しかし、

 

そんなすぐに切り替えることはできない。

デザートを頼まれて、番号で厨房に注文を入れる際に、

間違って伝えてしまっていたらしい。

 

デザートを運ぶ中国の同僚がテーブルに持って行った際、

「ティラミス?」とカップルに聞くと、

「No ティラミス、チーズケーキ!」と反応が返ってきた。

同僚も「Noティラミス?チーズケーキ?」と質問し直したら

「Sì」と言われ準備したらしい。

この間違いを、最後の片付けで教えてくれた。

 

中国の同僚はイタリア語を話さないので番号とわずかな言葉で

コミュニケーションを取る。

失敗して落ち込んでいる私に、彼女は

「何でもないから大丈夫!まだ始まったばかりだから!」と

優しい言葉をかけてくれた。

しかも笑顔で言ってくれたから前向きに頑張ろうという気持ちになった。

 

 

明日はゆっくり休んで、気持ちを切り替えていこう!